6月26日の日記「楽しい幼稚園ライフ 後編」

「6月の父の日参観は絶対行くべきですよ」

そう教えてくれたのは、ひなさんが通っている幼稚園をこの春に卒園したちさとちゃんのパパ(職場の後輩)です。

「子どもの成長ぶりに思わず涙が出そうになりますから」

というのがオススメの理由。
みきさんも僕もキャラクター的に泣きはしないと思うのですが、参観日への出席が楽しみになる一言ではあります。

◆    ◆    ◆

ところが、参観日を週末に控えた月曜日の朝。なんだか元気がないひなさん、体温をはかってみると結構な高熱です。仕方なく幼稚園を休ませることにしましたが、翌日になっても熱は下がりません。お医者さんに連れて行くと、アデノウイルスによる風邪という診断。体温さえ下がれば次の日から幼稚園に行ってもいいとのことで、室内では普段どおりおもちゃや絵本で普通に遊んでいるし、参観日当日の土曜日までには元気になると思われました。

しかし、水曜日になっても下がらない熱。次第に別の不安が頭をよぎります。

ひょっとして、今頃幼稚園では園児たちが参観日に向けていろいろな準備を着々と進めているのではないだろうか。


想定される参観日に向けた準備 ―3つのポイント―
ポイント1
お父さんの絵を描いて教室に飾る。
ポイント2
お父さんにお歌やお遊戯を披露する。
ポイント3
お父さんに手づくりプレゼントをあげる。

 



思えば、入園式の日の号泣初めての遠足の日の病欠など、これまでここ一番のポイントで無類の勝負弱さを発揮してきたひなさんのことです。父兄が注目する中、歌も歌えない、渡すべきプレゼントもないというのは幼児にとって相当に厳しい状況です。これならいっそ病欠したほうがマシだよと言いたくもなります。

募っていく不安と裏腹に、続く木曜日もお休み

夜なってかなり熱も下がってきて、希望の光が差し込んできたかに思われたのですが、金曜日の朝も微熱が残っていました。それでも体調はかなり良さそうだったので、車で送り迎えしてあげるからちょっとだけ幼稚園に行ってみる? と制服を着せてみたものの、病み上がりで機嫌の悪いひなさんは号泣しながら断固登園拒否。なかなか下がらなかった熱に鬱憤が蓄積していたみきさんと大ゲンカの末、結局登園断念。父親参観ぶっつけ本番が確定しました。

そして迎えた当日の朝。

ようやく完治したひなさんは元気にバスに乗って登園していきました。その数時間後、仕事を中抜けした僕はみきさんと待ち合わせて幼稚園へ。教室に到着するとひまわり組さんは担任の先生による紙芝居を楽しんでいる最中でした。

ひなさんに見つからないように、こっそり室内に入ると後方の壁面には予想通りお父さんの似顔絵が並べて掲示してあります。

 


さて、ひなさんの絵は・・・・?

あった!

よ〜し、第1チェックポイントクリア。
そのうち、僕たちの存在に気がついたひなさん。笑うでもなく泣くでもなく、不思議そうな表情でじっとコチラを見ています。ここで迂闊に手をふったりしてリアクションすると、こちらに向かって走り寄ってきてしまうような気がしたので、こちらも努めて無表情で見つめ返します。

意味のない緊張感があふれるにらみ合いをさえぎったのは、「おはようございます」という先生のさわやかなあいさつの声でした。

「せんせい、おはようございます!」

ほかのお友だちと揃って大きな声でごあいさつし、朝の歌を歌うするひなさん。おお! ちゃんと集団生活できてるじゃないか!

あいさつの後はすぐに保護者と子どもが組になって工作を楽しむプログラムが始まりました。これなら多少ふにゃふにゃになっても大丈夫。親子で力を合わせて丸い紙に絵を描きプロペラ状の切り込みを入れ、くくりつけたヒモを手に走り回るとくるくる回転する凧のような物体を完成させました。

 

ひとしきりその凧のような物体で遊んでいると、
「次はみんなでお父さんにお歌をプレゼントしましょう」
と先生。

来た! 第2チェックポイント。
しかし、先生のオルガンの伴奏に合わせてしっかりと歌い始めるひなさん。どんな歌詞なのかははっきり聞き取れないけど、「世界一強いパパは怪獣よりも強い」云々といった内容のようです。

ありがとうひなさん、お礼に「新しい表現」による作品をキミに贈ろう。

プレゼントの本旨を忘れ
浸りきる 自分の世界に

ともあれ、第2チェックポイントも無事クリア。 そして早くも参観日は終わりに近づいてきたようです。


「お父さんたち、少し後ろを向いていてください」という先生の指示に「はは〜ん」と思いながらも素直に従います。予想通り第3チェックポイント到来のようです。

「せ〜の! おとうさんありがとう!」
子どもたちの声をきっかけに振り向くとそこには、ひなさん手づくりのフォトスタンド(写真つき)が用意されていました。

こうして、3つの関門をすべてクリアして、無事に参観日が終わったのです。

思えば幼稚園では随分前から準備を進めていたのでしょう。おかげでひなさんも悲しい思いをしなくてすみました。見事な危機管理能力を持つ幼稚園であると言えましょう。

◆    ◆    ◆

週があけた月曜日、ちさとちゃんのパパがニコニコしながら話しかけてきてくれました。

「どうでした? 涙出そうになりませんでした?」

う〜ん、ゴメン。いろいろな心配が先に立って正直そんな余裕なかった
でも、まだひなさんの幼稚園生活は始まったばかりです。これからは心から園の行事を楽しむことができるよう、ひなさんんは常に健康に気を配り、コンディションを万全に保っていていただきたいものです。

 

 

          

 

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