3月6日の日記「つちのこ異聞」

つちのこ
日本に生息すると伝えられている幻のヘビ。体長は60cm。普通のヘビと比べて太い胴体が「槌」のようであることからその名で呼ばれる。マムシのような毒をもち、その跳躍力は何と1mを超えるさえ言われる(参考文献小学館刊「ドラ○もん」9巻)



前回、マンションの闇に潜む謎の存在を解き明かした我々BKミステリー捜査班が、日本最古の歴史書「古事記」にもその存在を示す記録が残っていながら、今もって誰もその本当の姿を捕らえることができない、日本のUMA(未確認生物)つちのこの正体に迫る!

◆     ◆     ◆


きっかけは、些細な出来事だった。
世界的なイベントの開幕を間近に控え、俄かに注目を浴びている愛知県のある地方都市。この街で暮らすOさん(仮名)は、仕事のために外出中に偶然、テレビの番組ロケ現場に出くわした。人だかりの大きさからかなりの有名タレントがやってきているらしい。背伸びをしてその中心をのぞくと、そこには派手な赤いジャケットを着た若者がカメラの前で芸を披露している姿が見えた。

「Mギー!」「Mギーだ!」

人々のざわめきから、そこにいるのが大きな耳で人気の若手マジシャンであることが理解できた。MギーはMギーでもヒゲの師匠の方のファンであるというOさんは結局、職場に向かう歩みを止めることなく、その場を立ち去ったのであった。

しかし、よく考えてみれば芸能人を間近にみることなどそんなにあることではない。Oさんは帰宅後、昼間に目撃した出来事を妻に話してみた。しかし、芸能人には全く関心のない妻。「ふ〜ん」と軽く受け流すだけで、それ以上話題が膨らむことはなかった。

その反応に物足りなさを感じたOさん。次の日の夜、たまたまチャットで出会ったネット仲間のMさん(仮名)にも、その若手芸人の目撃談を報告してみることにした。



以下は関係者の証言によりその夜のチャットの様子を
一部脚色して再現したものです


 

O:「そういえば昨日Mギー見たよ! 生で!」
M:「ええっ! 本当ですか!?」

これだよ、この反応だよ! Oさんは妻とのやりとりで感じた空虚さが急速に満たされていくのを感じた。

O:「そう、テレビのロケで。
   例の小動物の芸をやってましたよ」

M:「ラッキーですか? アレ、いいですよね。
   どこかで売ってないかなあ?」

「ラッキー」というのは、Mギーの得意芸で使われる小さなアライグマのぬいぐるみである。近所の雑貨店でMギーのマジックセットが売られているのを思い出したOさんは、さっそくオンラインショップで「ラッキー」を調べてみることにした。


見つけた → ラッキー


O:「6500円もしました!!」

M:「6500円ですか! …それはちょっと」
O:「…高いですねえ」
M:「私にはモーラーくらいがお似合いなのかもしれません」

「モーラー」というのは1970年代に小さく流行った小動物の玩具である。
そこでOさん今度は「モーラー」を急ぎ探すことにした。


見つけた → モーラー


O:「430円でした!」
M:「ラッキーの10分の1以下ですか!」
O:「ここは、モーラーで我慢しましょう!」

その有名オンライン市場「R天」のサイトをMさん示しながらモーラーの購入を勧めていたOさん。しかしその時である! 
Oさんは同じページの中にさらに驚くべき事実を発見したのである!


O:「Mさん、モーラーの下!! つちのこ! 150円!!」
M:「!」
O:「これはもう買うしかないでしょう! 
   ゲット ア つちのこ!
M:「でも、つちのこって…」
O:「今、買わなきゃもう一生は手に入らないんですよ!」
M:「…そうですか」
O:「それにMさん『R天』でブログもってるじゃないですか!」
M:「アフィリエイト!?
O:「ここから世界的なつちのこブームが起きるかもしれません!」
M:「パリやNYでつちのこを求める人の列が!
O:「一ヤマ当てて、目指せ! つちのこ御殿!
M:「御殿が建つまでにはいくら売れなきゃいけないんでしょう?」
O:「とりあえず、ウチの分も買っておいてください」

この後、つちのこを手に入れたら「つちのこ団」結成すること、その団長にはMさんが就任することなどを約束、つちのこ発見に大いに興奮しながらこの夜のチャットは終了した。

しかし、ネットショッピング未経験のOさんは知らなかった。150円のつちのこを手に入れるためには703円の送料がかかることを(ついでにアフィリエイトの仕組みもよく理解していなかった)

そして10日後、Oさんの家に一通の郵便が届いた。差出人はMさん。
胸の高鳴りを抑えながらOさんは封筒を・・・、開けた!


これがつちのこの真実だ!

Oさんはさっそく「つちのこ」を3歳の長男に与えてみることにした。



つちのこみょ〜ん
つちのこは3歳児の心をとらえて離さなかった!


こうしてBKミステリー捜査班はついに「つちのこ」を捕らえることに成功した。しかし、我々の活動はこれで終わったわけではない。この世界に現代科学では解明できない謎がある限り、BKミステリー捜査班の活躍は続くのである。


《追記》
この日記を書くために、「R天」のショップを再度訪れたところ、こんなものを・・・

見つけた → 団長


団長ぉぉお!! 
 
都会派の必需品なのに、町内の人気モノって・・・
最高ッス!
一生ついていきます!

ウチも目玉取れましたッス!

 

 

          

 

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