2月20日の日記「日常に潜む恐怖」

最近のひなさん、とっても便利です。

「これ、ゴミ箱にポイしてきて」
 
とたたたたたたた・・・(←足音)
「ポイした」

「がんばって、お風呂の緑のボタン押してきて」
 
とたたたたたたた・・・(←足音)
「おしてきた」

「ストーブのスイッチ切ってね。がんばれ!」
 とたたたたたたた・・・(←足音)
「きった」

「このコップ、台所においてきて」
「・・・・・・」
「どうしたの? おいてきてよ」
「・・・がんばれって言って」
「がんばれ! がんばれ!」
 
とたたたたたたた・・・(←足音)

励ましてあげながらお手伝いを頼むと、どんな事でも素直に引き受けてくれるのです。暦の上では春になったとは言え、まだまだコタツや布団が恋しいこの季節。嫌な顔もせずに意のままに動いてくれるひなさんは大変ありがたい存在です。こうなると自分で散らかしたおもちゃや絵本を片付けろと言われたときにこの素直さが発揮されないのが返す返す残念でなりません。

◆     ◆     ◆

さて、こんな風に頼まれればどこへでも出動してくれるひなさんですが、唯一なかなか足を運んでくれない場所があります。

それは電気の消えた暗い部屋。

「だって こわいもん オバケがでるもん」

はっはっは。なかなか子どもらしいことを言うじゃないか。絵本かテレビでそんなお話でも見たのかな。ちなみにそのオバケってのはどんな格好してるんだい?

「あのね こう ながいんだよ」

長いって髪の毛が?

「かみのけは ボサボサなんだよ」

じゃあ何が長いの?

「きてるものが、こうやってながいんだよ」

身振りを交えて細かく説明しようとするひなさん。
ちょっと待って! もっと詳しく教えてほしいな。
ひなさんが見ているというおばけの正体にせまるために、おもちゃ箱からお絵かきボードを取り出し、ひなさんの証言を絵にしてみることにしました。

 


お絵かきボード


【ひなさんとの一問一答】

そのお化けはどんなお顔をしてるの?

「まるいんだよ。めとくちが おおきいんだよ」

男の子? 女の子?

「おとなの おとこのこだよ」

それはちょっと怖いね。着てる服は何色?

「しろいんだよ」

手はどんなかたち?

「・・・?」

だからね。手の形はグーとかパーとかチョキとか、どんな形?

「チョキだよ」

しまった。これは質問の方法が悪かったな。答えを妙な方向に誘導してしまった気がする。でもチョキね。はいはい。で、そのオバケはいつも何をしてるの?

「あしを ドンドンってしてるんだよ」

足で地面を踏みつける真似をするひなさん。なんだか落ち着きがないオバケだな。他には何かしたりはしないの?

「みなみの へやにいるんだよ」

南ってどこか知ってるのかね。このオバケは何かお話したりするの?

「おおきなこえで ガーガーって いってるんだよ」

なるほど丸い顔で、髪の毛がボサボサで、手がチョキで、足をドンドンしていて・・・・と、こんな感じかな?

 


どう?

「・・・そっくり」

そうか、これがひなさんが見たというオバケか。そっくりに描けているといわれて気をよくした僕は、せっかくなのでリアルに描き直してみることにしました。





これはどう?

「・・・そっくり」

そうか、やはりそっくりか。苦労した甲斐があったよ。さらに気をよくした僕は描いた絵を動かしてみることにしました。

 

 

 


これはどう?

 

「・・・・・」

しつこいですか?
しかしこんなことをしてて、本当にオバケがいたらヤバイかしら。オバケさん悪気はありませんから、どうか呪ったり祟ったりしないでくださいね。

◆     ◆     ◆

とりあえず、出来上がった似顔絵を見せながらここまでの顛末をみきさんに報告してみました。すると、みきさん

「・・・これアタシじゃない?」





あぁっ! 
 
確かに!
 丸い顔に、ボサボサの頭。ドタドタ歩いてるし、ガーガーとうるさい。目が大きいというのはメガネをかけているからに違いありません。おそらく夜遅く目が覚めてしまったひなさんが、茶の間(南の部屋)にいるみきさんを寝ぼけてオバケと間違えてしまったのでしょう。

こうしてひなさんのオバケ探しは、思いもよらない結末を迎えることになりました。世の中には科学で証明できないなどと言われている不思議なことが沢山ありますが、真実というものは案外こんなモノなのかもしれません。

何はともあれ、ひなさん。オバケはおかあさんだったから、これからは暗いところでも怖がらずにお手伝いにでかけてね

 

 

          

 

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