9月23日の日記「野球場に行こう!」

愛知県に生まれ育った男の子は、まず普通にドラゴンズファンに育つものです。
僕も小学生の頃から兄と一緒に「少年ドラゴンズ」と呼ばれるファンクラブに入会したり、部屋に選手のポスターを貼ったりしながら毎日のテレビ中継や、年に数回の野球場での試合観戦を心から楽しんだものです。

そんな我らがドラゴンズ。今年は密かに絶好調で5年ぶりの優勝も目前です。

先週の末に実家に帰ったら、兄はいつ優勝してもいいようにとナゴヤドームでのドラゴンズの試合のチケットを数試合分買い占めているとのこと。社会人になっても相変わらずだな、兄。当然、例のストライキでせっかく確保した巨人戦のチケットが無駄になっていました。そのあたりも実に兄らしい。


問題のチケット

それにしても問題はストだ。70周年を迎えたプロ野球は大きく揺れています。今野球界に起っているさまざまな動きの一つひとつにファンの一人として言いたいことは山ほどあるのですが、したり顔のテレビコメンテーターに言われるまでもなく、混迷する野球界を救う一番の道はファンが球場に足を運ぶこと。

よし、ひなさんドームに行こう! 混迷するプロ野球を救うために!
うまくいったら胴上げシーンも見られるかもしれないしな。そして君も立派なドラゴンズファンになるんだ!

 
そして、やってきましたナゴヤドーム

 

野球見物ははじめてのひなさん、球場入りするまではお出かけモードで大はしゃぎしていたくせに、巨大なドームの迫力と地鳴りのような歓声に呑まれ気味。不安げに周りを見回して、何やら大人しくしています。よしよし、このまま試合終了まで静かにしててもいいよ。

座席はプライムツインと呼ばれる外野の4階席。ダイヤモンドは遥か遠くでひなさんに野球の楽しさを伝えるには少々難しい席だったかもしれません。

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さて、対戦相手はマジック対象チームのスワローズ。実際はこの日の胴上げの可能性はないものの、勝てばマジックが点灯するという大切な試合だけあって客席は満員です。スワローズと言えば、今や時の人となった古田選手のチーム。敵ではありますが何かとがんばってくれているので、ここはひとつ拍手のひとつでもしてやろうかと思っていたのですが、


なんだ、今日は欠場かよ

試合が始まる時間だというのに古田選手はスト回避に向けて、オーナー側と最終交渉をしている最中なのだろうなあ。やっぱり大変なんだなあ。

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試合は、初回にスワローズが3点先制してからは実に中日・ヤクルト戦らしい静かな展開。最初は大人しくしていたひなさんは、1回の裏で飽きてしまいました。


「なまえ、なんていうの?」

座席から脱走して通路で走り回っているときに二人組のお姉さん(5歳)にナンパされて、ずっと仲良く遊んでもらっています。いつまでも放し飼いにしておく訳にもいかないので、席に連れて帰ると大泣き。

「もうやきゅうみない! おうち、かえる!!」

しまった、これではドラゴンズファンに育つどころか逆効果ではないか。ディズニーランドに続いて、ひなさんに余計なトラウマを作ってしまった手ごたえありです。

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肝心の試合展開は相変わらず淡々としたペース。1対5でドラゴンズ4点ビハインドのまま最終回のスワローズの攻撃。ピッチャーの打順で代打古田のコール。その瞬間、ドーム全体からびっくりするほど大きな拍手がわき起こりました。

 
代打 古田        ↑これが古田だ

他の球場でも同じような光景が見られたことはニュースで知っていたのですが、実際に目の当たりにするとやはりそれは感動的な場面でした。が、その古田、さっきまでシビアな交渉していたクセにヒット打ちやがった。ドラゴンズファンが珍しく優しくしてるからって、誰がそこまでしていいと言いましたか。

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結局、試合はそのままスワローズの勝利。マジックの点灯は翌日以降に持ち越しとなりました。数少ないスワローズ応援団が「東京音頭」で大いに盛り上がっているのを横目で見ながら家路につきました。球場の壁にはこの日の選手会と経営者側との交渉の結果、ストライキが回避されたとの号外が張り出されていました。


仕方がない、古田に免じて今日は許してやるか。

ところで、ひなさんは最後までグラウンドに興味を持ってくれそうになかったので、最終回の裏に登板したスワローズの五十嵐投手を指差しながら「あの人、すごく早いボール投げるよ。みててごらん」と少し解説をしてあげたら、どうやらそのまま五十嵐投手が気に入ってしまった様子。

それが証拠に帰宅後、「今日は何が面白かった?」とひなさんに聞いてみたら、

「こうやって、シュッってボールなげてたよ」と五十嵐投手が投げる真似。このまま半透明の傘を振り回して東京音頭を歌い踊る輩に育ってしまわないように、注意して見守っていかなければいけないようです。

 

 

          

 

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