8月8日の日記「夏のおともだち」

記録的な猛暑が続く今年の夏。大人には耐え難い季節であっても、夏休み中の子どもたちにとっては、まぶしい太陽の下、野山を駆け回ってたくさんの自然の動植物と触れ合うことができる大切な時間でもあります。

そんな中、ひげおじさんことにしやんと愛さんはこの夏、航ちゃんのためにつがいのカブトムシを飼い始めたそうな。やるな、にしやん。しかし、飼い始めてすぐにお盆にまとまった休暇が取れることになったので、1週間ほど東京の実家に帰郷することになりました。そこで、その間ウチで2匹の昆虫の世話をすることになったのは、まあ当然の成り行きですね。

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ところが、みきさんが受け取ってきたに飼育セットを見て驚きました。カブトムシを飼う時はやわらかく湿った腐葉土を入れるのが基本なのですが、なんと飼育箱の底には固い砂状の土が入れられています。それに飼育箱の高さが十分ではない上に、ふたの部分がガムテープで止めてあるだけ。このままでは夜のうちに逃げられてしまいます(事実2回ほど脱走されました)。細かいことを言えば土の上に敷いてある葉っぱもカブトムシが好むクヌギやナラじゃなくて、ヤブツバキだぞ。


頑張ってるけどちょっと違う

「にしやんって、虫を飼ったことないでしょう」
即座に見抜いた僕はみきさんに尋ねると「うん、本当は虫は苦手なんだって」との答え。やはりな。にしやんは都会育ちだから仕方がない。それにみきさんも愛さんも山育ちのくせに虫は好きな方ではありません。まあ、ここは航ちゃんのために苦手な虫を飼うことにしたひげおじさん夫婦の心意気讃えることにして、まずは近所のスーパーで正しい水槽や土を用意して、昆虫飼育はかくあるべしという模範を示すことにしました。こう見えてもお義兄さんだからね。


オーソドックスな飼育セット

さて、はじめて見るカブトムシにひなさんは興味津々です。おっかなびっくりだったのは最初のうちだけ。餌を交換したり霧吹きで水をあげたりしてお世話をしているうちに、徐々にムシたちの扱いに慣れてきて、今ではツノをつかんでカブトムシを持ち上げることもできるようになりました。


お世話に励むひなさん

手づかみでも平気です

そういえば、これまでひなさんが熱中してきたものといえば、ウルトラマンやトーマスなどフィクションの世界のものばかり。こんな風にリアルなものに関心を持ってくれるのは、やはり何となくホッとした気持ちになります。

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そんなこんなでカブトムシさんがやってきて1週間たった金曜日の夜。

この週末には帰ってきたにしやんたちがカブトムシを引き取りにやってきます。そこでみきさんが、いつものように嬉々として霧吹きをするひなさんに「もう、カブトムシさんは航ちゃんに返すんだよ」と宣告しました。するとひなさん、水槽の中を覗き込んだまま全く動かなくなってしまいました。みきさんとしては心の準備を促すつもりだったのですが、わが子ながら気の毒なくらいの落ち込みようです。

自分の思い通りにならなくて、泣いたり怒ったりするひなさんはよく見るけれど、本当にショックなことがあるとこんな風になってしまうんだな! 初めて知ったよ。

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その後もソファーに力なく横たわり、ものも言わず立ち直りの兆しを見せないひなさん。まるで生ける屍のよう。そんなにカブトムシさんを好きになっていたのか! よし、わかった! そんなにカブトムシさんが好きなら一緒に捕まえにいこうじゃないか。

「むしとり、いくの!?」

その瞬間、ひなさんの瞳に輝きが戻ってきました。 幸いなことにわが家の近所には僕が子どものころ虫取りをした雑木林がまだ残っています。そうとも! スーパーで売っているのではない本物のカブトムシをとりにいこう!

それにしても、インドア派のひなさんがこれほど虫に心奪われるとは驚きです。詳しいことはまだ明かすことができませんが、本人も無意識のうちに体の中にある伝説のカブトムシ名人の遺伝子が騒いでいるに違いありません。血筋というものは実に不思議なものです。

次回、カブトムシ名人登場。ひなさん、虫取りデビューで秘めたる才能が花開くか?

                   (続く)

 

          

 

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