9月7日の日記「ことばのふしぎ」

このところ、口にする単語の数がどんどんふえてきたひなさん。その成長のようすを観察していると、「言葉」というものの不思議さに直接触れているようで、とても興味深いことばかりです。

■        ■        ■

その一つが単語のおぼえ方。幼児は、単語を語尾の部分からおぼえていくもののようです。実際にひなさんがよく使う単語を例にあげてみましょう。

「マン」=ウルトラマン
「モン」=ドラえもん
「メン」=ラーメン

こんな微妙な言葉の使い分けができるのなら、一つの単語をきちんとおぼえるのは簡単そうに思えるのですが。

■        ■        ■

さて、ボキャブラリーが増えてくれば次は二つの言葉をつなぎ合わせて、「ママ来た」とか「おんも行こう」とか、いわゆる2語文を話す段階に入ります。普通、2語文といえば、英文法でいう「主語:S」「述語:V」「目的語:O」に相当する単語がセレクトされそうなものを、ひなさんの場合はいきなり主語と助詞という渋い組み合わせを選択。つまりはこういう事です。

「アンパンマンが・・・」
「イチゴが・・・」
「わんわんが・・・」

アンパンマンが一体どうしたんだ?! と、思わず声にだして問いただしたくなるほど、文章として中途半端で気持ちが悪い。しかし、次に使うようになった2語文は、みきさんや僕のシャツやパンツを順番に指差しながら・・・

「パパの」
「ママの」

あくまで主語と助詞の組み合わせにこだわる構えをみせます。
そんなひなさん、先日ようやく完結した一文を口にしました。

「ばーちゃんがいた」

助詞を先におぼえたおかげで、いきなり正しい日本語です。

■        ■        ■

ばーちゃんと言えば、ひなさん「ばーちゃん」という言葉はかなり正確に理解しているようす。2人いる実のばあちゃんや、ひいばあちゃんはもちろんのこと、絵本やアニメで年をとった女性(動物でも可)のキャラクターを見ても「ばーちゃん! ばーちゃん!」と大騒ぎをします。

50代〜60代の女性を見ても「ばーちゃん」といきなり話しかけますから、端で見ているとハラハラします。しかし、よく見ていると孫のいない女性には決して「ばーちゃん」とは言わないことに最近気がつきました。一目で孫の有無を見分ける能力。あまり実生活では役に立ちそうにない特技ではあります。あっ、この前みきさんの妹のあいちゃん「ばーちゃん」と話しかけてしまったのはナイショね。

■        ■        ■

あいちゃんといえば、ひなさんったらどこをどう間違えたのか、電車のことを「あいちゃん」とおぼえてしまいました。

でんしゃ = あいちゃん

微妙に似てなくもない二つの言葉。特に小さな「ゃ」のあたりが怪しい。
ひなさんは乗り物が大好きですから、電車が目の前を通り過ぎるたびに、

「あいちゃ〜ん! あいちゃ〜ん!! ばいば〜い!ばいば〜い!!」

と大きな声で叫びます。何も知らない人がこの様子を見たら、こんないたいけな子どもにどんな切ない惜別のドラマが訪れたのだろうと、思いを馳せることでしょうが、実際のところは、「電車! 電車!」とはしゃぎ回るごく普通の幼児の姿がそこにあるにすぎません。

■        ■        ■

「ばいば〜い」と言えば、毎朝、僕が仕事に出かけようとするたびに号泣するひなさんですが、何がきっかけだったのか最近一週間に1回くらい笑顔で「ばいば〜い」とお見送りしてくれるようになりました。まあ、これも一つの成長の表れなのでしょう。やがて1週間に1回が2回、3回と増えていき、毎日笑顔で見送ってくれるようなったと思ったら、すぐに、お見送りすらしてくれなくなるのだろうねえ。 仕方無いこととはいえ、なんだか複雑ではあります。

■        ■        ■

こんな風におしゃべりが上手になってきたとは言え、まだまだ自在に言葉を操ることはできないひなさん。話したいことはいっぱいあるのに、うまく伝えられなくてもどかしそうな素振りをみせたり、謎のひなさん語をひとりで延々としゃべり続けたりしています。

その一方で、大人の言っていることはかなり理解しているようす。話したいという意欲は人一倍ありそうですから、この調子でいけばひなさんと言葉のやりとりでコミュニケーションできるようになるのも、そう遠くはないはず。

いずれにせよ、とんでもなくおしゃべりな子どもになりそうです。

 

 

 

          

 

[PR]動画