沖縄旅行記 3 「1歳児と行く沖縄の旅(後編)」

沖縄旅行もいよいよ最終日です。
再び真夏の沖縄の強烈な日差しが戻ってきたこの日も、ひなさんは相変わらず元気いっぱい。夕べもその前の晩と同じく、遅くまで大騒ぎしていてあまり眠ってないくせに。

そもそも子どもの元気っていうのは、どこから湧いてくるのでしょう。人間も含めた哺乳動物は、食事によって得たエネルギーを脂肪という形で体内に蓄積するものですが、小さな体で脂肪もそれほどついていない1歳幼児は、大人にはないエネルギータンクを別に持っているとしか思えません。

くれ! そのエネルギータンクとやらを!! 
お疲れ気味の成人男子の切実な叫びでした。


−4日目(再び快晴)−

「11 水中鑑賞船 オルカ号」(9:00)
最終日になっても、厳しい観光スケジュールは変わりません。朝食もとらずにホテル出発して那覇港へ。船底の大型ガラス製の窓から海の中のパノラマを楽しむことができるという水中鑑賞船オルカ号に乗るためです。

 

事前に船会社に電話を入れたときには、この日の予約はほとんど満席で、かろうじて確保できたのは朝の第一便。だから、3人とも朝は弱いんだってば。それでも席が取れるとなったら乗らずにはおられない恐るべき貧乏性パワー。ひなさんは始めのうちこそ、魚を指さしては「トト! トト!」などと叫んでおりましたが、しばらくすると窓ガラスを固定するネジなどのどうでもいい小さなモノをいじり始めるという、いつものパターンに陥っておりました。

 

「12 首里城」(9:00)
せっかく沖縄に来たのだから、やはり歴史的な建造物にも行っておかなければと二千円札でおなじみの首里城へ。二千円札自体がおなじみではないという現実には目をつぶりつつ。

 

もうこの時点でみきさんも僕も、すっかりバテてております。これまで一度も使わずにいたベビーカーを最終日にして解禁したのも、ひなさんを固定しておけば少しは楽に観光できるだろうと計算してのことです。しかし、お城というものは高台に立っているもの。灼熱の太陽の下、ベビーカーを押して登る坂道では、ちょっとした奴隷気分を味わうことができます。城内に入るや本殿前の広場を思い切りかけ回るひなさん。同行する大人としては、熱中症になりゃしないかと気が気じゃありませんでしたが。

沖縄ひとくちコラム 4

首里城の係員の人はみな、民族衣装を身にまとい、古(いにしえ)の琉球情緒を演出しています。みな親切な方ばかりで、ベビーカーが通れるスロープの場所や、次の目的地への道順など、質問するたびにとても丁寧に教えてくださいました。それなのにひなさんったら、ちょっと目を離した隙に首里城内の琉球国王の玉座の間に勝手に侵入しやがって、慌てて飛んできた民族衣装のおじさんからお目玉をいただきましたとさ。

 

「13 漫湖公園」(14:00)
昼食後、帰りの時刻まで少し時間があったので、適当に車を走らせ、ひなさんと遊べそうな場所を探していたところ、大きめの公園を発見。その名も漫湖公園。見たところ、運動場やジョギングコース、遊具がある地元住民向けの公園のようでした。しかし、この中に意外にもひなさん大喜びの施設があったのです。

 

それは「ちょうちょガーデン」と名づけられたチョウの飼育施設。温室のような建物の中にたくさんのチョウが放し飼いにされていました。なにしろ、チョウチョという言葉はいち早く覚えたチョウ好きのひなさん。一匹、一匹見つけるたびに、「ぢょうちょ、ぢょうちょ」といちいち指差して大騒ぎ。何もかも事前の予定通りにスケジュール消化してきた今回の旅行でしたが、最後に来て旅らしい予期せぬ発見をすることができたのでした。

沖縄ひとくちコラム 5

漫湖は湖という字を使っていてますが、那覇港に注ぐ川の河口に形成された干潟です。数多くの鳥たちの楽園として知られ、1999年には国際的に保全していくべき干潟としてラムサール条約にも登録されました。本土の人がその名を口にしようとすると、何だか妙な心理状態に追いやられる漫湖ですが、世界的にも貴重な水辺環境であることを多くの方に知っていただきたいものです。

ちょうちょガーデンで大はしゃぎをしながら、ひなさんこっそりウンチしてました。
旅先でのウンチ。普段なら大層げんなりするところですが、今は飛行機での長時間移動を直前に控えた身の僕たちです。これで何の心配もなく家路につくことができるというもの。えらいぞ、ひなさん!

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漫湖公園を後にしてレンタカーを返却。そして帰りの飛行機が待つ那覇空港へ。
この日、本土で記録的な大雨が降っていた影響で、飛行機は5分ほど遅れて空港を飛び立ちました。さすがのひなさんもここへきてようやくエネルギーが切れたのか、押しても引いてもビクともしない熟睡状態。帰りの飛行機も行きと同様、2人の汗で体中ドロドロになったことを除いては快適な移動となりました。

  

こうして4日間の旅行はあっという間に終わってしまいました。
旅行会社に勤める叔父さんによると、今年はSARSの影響もあって各社とも国内旅行に力を入れた結果、気候のよい北海道の旅行に人気が集中しているそうで、各観光地には人があふれ、とてものんびりと旅行を楽しむ雰囲気ではないとのことでした。

北に来訪者が集中した分、今年の沖縄は結構な穴場だったようですが、もちろんそんなことはこれっぽっちも知りませんでした。今にして思えば、沖縄内どこへ行っても人の多さに辟易するような場面はなかったものな。まさに結果オーライです。

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これまで3回にわたって観光地でのエピソードを中心に日記を綴ってきましたが、旅行の楽しみは観光だけではありません。というわけで、長く引っ張り続けている沖縄旅行記、「食」と「人」をテーマとしてあと2回だけ続けさせてください。

早いもので旅行から1か月が過ぎようとしていますので、僕の記憶力が耐えられるか少し心配ではありますが。

 

 

          

 

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