11月10日の日記「ねずみ男の冒険」

みきさんが近くの大学の学祭に行きたいと言い出した。出産を間際に控えたあいさんも一緒だという。折悪しく今年最初の寒波が到来していて、朝からひどく冷たい風が吹く日だった。大丈夫かあいさん。しかも、ひなくんが2、3日前から風邪をひいて鼻水たらしてるのに。

こんな悪条件の中、彼女たちを学祭に駆り立てるのは嘉門達夫のライブだという。さすがは初デートに清水ミチコのものまねお笑いコンサートをチョイスする女とその妹。会場が野外なので入場無料なのもポイントが高かったらしい。もうお笑い姉妹を止めるものはない。ひなくん学園祭デビュー決定。

カゼがひどくならないように温かそうな服を選んだところ、何故だかネズミ男のコスプレになってしまったが。

 
ネズミ男、大学祭の舞台に登場
 

しかしこのネズミ男、行く先々で大人気。
大学祭にあまり乳児は来ないだろうから物珍しさも手伝ってのことだろう。女子学生たちがとても無防備に近づいてくる。

「キャー! 激カワイイ!」(げ、激?)
「今
、何か月ですか?」(ちょうど1歳です)
「お名前は?」
(ひなたといいます)

もちろん、ひなくんは質問に答えられないから必然的に対応するのは僕の役目になる。これまでの人生で初対面の女の子からこれだけ話しかけられた事があっただろうか。写真だって抵抗なく撮らせてくれるのだ。


女子大生も萌え萌え〜♪

「じゃあ、後で写真メールするから、アドレス教えてくれる?」
何ていったら、簡単に教えてくれそうだ。この娘たち。最強のナンパの小道具だな、ネズミ男は。すぐ横に丸顔の女と臨月がいるので実行はできないけれど。

寄って来るのは、女子学生ばかりではない。彼女に子ども好きをアピールしようというカップルの男(意図がミエミエだぞ、若造)。いかにも体育会系の二人組の男子も来た。どうやら先輩後輩の間柄らしい。しゃがんで目線を合わせてひなくんと遊ぶ先輩を後輩が笑う。

「センパイ、子ども好きっスねえ」
「お、おう。そ、そうかぁ」


頬を赤らめるセンパイ。
男の後輩に子ども好きをアピールしてどうする。何か意図でもあるのか、センパイ。

こうしてたくさんの学生さんに遊んでもらって疲れたひなくんはライブの間中ずっと熟睡。お陰でお笑い姉妹は心ゆくまで嘉門達夫ワールドを楽しむことができたのだった。ネズミ男は厚着したのがよかったのか、カゼがひどくなることはなかった。そして、あいさんも4日後、無事に男の子を出産をした。

「私が大学祭に連れて行っていっぱい歩かせたから、あいさんは安産だった」みたいなことをみきさんは言う。確かにお医者さんにはたくさん歩くように言われていたらしいが、それは少々図々しい意見なのではないだろうか。

 

 

          

 

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